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ファンクの名盤・名曲24選 – おすすめバンドやアーティスト | ギタリスト・ベーシスト

悩みびと
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ファンクってなんだ?何を聴けばいいんだ?

というあなたのために、ファンクがなにかを耳で理解できる名盤24枚を紹介します。

ちなみにスティーヴィー・ワンダーやマービン・ゲイをファンクだという人もいますが、私はソウルやR&Bのほうが近いと思うのでここでは紹介しません。

記事の要点
  • ファンクの名盤・名曲がわかる
  • ファンクの雰囲気がわかる
  • ファンクのプレイリストが聴ける

Apple MusicとSpotifyのプレイリストも用意したので、ぜひ使ってみてください!

ファンクの名盤・名曲【バンド編】

ジェームス・ブラウン

ジェームス・ブラウン(James Brown)は、ファンクの帝王と称されることもあるファンクの代表的なアーティストです。

ゴスペルから始まったジェームス・ブラウンのキャリアは、ソウルやR&Bなど多くのジャンルを包括しファンクへと昇華させたとして語りつがれています。

ジェームス・ブラウンの魅力を最大限に感じられるライブ盤を紹介します。日本で有名なのが「ゲロッパ」を連呼する「Sex Machine」。小気味よいフレーズを繰り返すファンクの典型的な曲です。

ビジネスマンとしても優秀だったジェームス・ブラウンは、売れると思った曲は自腹を切ってでもリリースしました。ショウの頻度も上げ利益を生み出した彼は、ファンクの人としてもビジネスマンとしても一流でした。

スライ&ザ・ファミリー・ストーン

スライ&ザ・ファミリー・ストーン(Sly & The Family Stone)は、ファンクを語るうえで欠かせない草分け的なバンドです。スライ・ストーンが結成した、当時としては革命的な白人黒人混合・男女混合のバンドでした。

スライ&ザ・ファミリー・ストーンは時期によってサウンドが大きく異なります。ファンク色の強い前期〜中期と悩みの影が見て取れる後期、ディスコサウンドに傾倒したその後と分けられます。

ファンクについて解説する本記事では、ファンクの色合いが強い「Stand!」を紹介。自由民権運動の重苦しい雰囲気を吹き飛ばすかのような彼らの音楽は、ヒッピー文化に多大な影響を与えました。

アルバム「There’s a Riot Goin’ On(邦題 : 暴動)」は、スライ・ストーンへの悩みやドラッグの侵食が大きく「Stand!」とは曲調が一変しています。双方のアルバムは名盤ではあるものの、同じバンドの異なった顔を映し出す鏡のようです。

アース・ウィンド・アンド・ファイアー

アース・ウィンド・アンド・ファイアー(Earth, Wind & Fire)は、モーリス・ホワイト率いるファンクバンド。宇宙や歴史を題材とした壮大な世界観が特徴です。

ホーンセクションをかまえることで豊かなサウンドを表現していたが、途中から電子音楽に挑戦しサウンドをディスコに寄せていきます。

名盤の多いEW&Fのアルバムからは「I Am」を紹介。「In the Stone」や「Boogie Wonderland」といった楽曲群では、美しいホーンの音色と切れのある弦楽器・ドラムを堪能できるはずです。

入門編のアルバムという意味ではベスト盤から入るのもおすすめ。「September」をはじめ有名な曲が勢揃いしているので、とりあえず雰囲気を知りたい方は「Greatest Hits」を聴きましょう。

ファンカデリック

ファンカデリック(Funkadelic)は、ジョージ・クリントン率いる凄腕ファンク集団です。

他のバンドが下手と言いたいわけではないのですが、それほどまでにこのバンドは実力が高いです。後述のパーラメントと合わせてPファンクと呼ばれることが多くあります。

ファンカデリックからは、ファンクっぽさの強い「One Nation Under a Groove」と、ロックの要素を感じさせる「Maggot Brain」の2枚を紹介します。ちなみに、「Promentalshitbackwashpsychosis Enema Squad」のような長い曲名はPファンク特有の造語です。

「Maggot Brain」のタイトル曲は、10分にもおよぶギターソロの曲です。ジミ・ヘンドリックスから大きな影響を受けたエディ・ヘイゼル(Eddie Hazel)による泣きのギターをこれでもかというほど堪能できます。収録時に「母親が死んだと思って弾け」と助言されたという逸話も残されています。

パーラメント

パーラメント(Parliament)は、ファンカデリックとほぼ同じメンバー、違うバンド名で運営されてきたファンクバンドです。ファンカデリックよりホーンが目立ち、ファンキーさもプンプンなのが特徴。

ジョージ・クリントンの痛烈な世界観がパーラメントでは繰り広げられます。宇宙からやってきたファンクを広めようとする人物(?)、ドクター・ファンケンシュタイン(Dr. Funkenstein)による、人類をファンクで踊らせるという滑稽な計画をぜひ堪能してみてください。

1枚目のアルバム「Mothership Connection」では、宇宙船に乗ってきたスターチャイルド(Star Child)の地球への侵略が主な舞台です。1曲目「P-Funk (Wants to Get Funked Up)」にて、スターチャイルドがラジオを乗っ取りファンク化計画を宣言するという壮大でバカげた設定が明らかになります。

設定について熱く話してしまいましたが、バンドサウンドも見逃せません。ファンカデリック以上にファンキーな音楽が繰り広げられています。

クール・アンド・ザ・ギャング

クール・アンド・ザ・ギャング(Kool & the Gang)は、ジャズの要素からファンクを作り出していったバンドです。

宗教やアフリカの要素を感じさせる歌詞も多くあり、楽しいだけでない真面目な要素もあるバンドだとうかがい知れます。

1曲目「Funky Stuff」や3曲目「Jungle Boogie」はクール・アンド・ザ・ギャングを代表するヒット作で、彼らのファンクサウンドを堪能できる名曲です。ジャズから発展したファンクを十分に楽しめるはず。

アイズレー・ブラザーズ

アイズレー・ブラザーズ(The Isley Brothers)は、コーラスグループ3人組で始まったバンドです。後に楽器陣を含め6人編成になります。

R&Bやソウルを経て生み出されたファンクが特徴的です。後々は当時の潮流に漏れずディスコに傾倒していくものの、ファンクの代表的なアーティストとしていまでも評価されています。

時代により多くのジャンルを貪欲に吸収した彼らのアルバムからは、ファンクの感じやすい「3+3」をおすすめします。「That Lady, Pts. 1 & 2」からはじまる一連のサウンドは、さまざまなエッセンスを取り入れた彼らならではのファンクを感じずにいられません。

ミーターズ

ミーターズ(The Meters)は、ニューオーリンズのセカンドラインファンクを体現したようなバンドです。

一般的なファンクよりさらにゆっくりしたテンポで、ねっとりとしたグルーヴが特徴。ファンクだと思って聴くと度肝を抜かされます。

アルバム「Look-Ka Py Py」は、ミーターズのセカンドラインファンクを存分に楽しめる名盤です。タイトル曲「Look-Ka Py Py」では、意味をなしていない単語の羅列が見事なリズムを刻んでいます。

存在感のあるベース、ハイハットを生かしたドラム、リズムを作ることに注力しているギター、彩りを添えるキーボードは聴いていて飽きが来ません。「Look-Ka Py Py」以外には「The Meters」もおすすめです。

コモドアーズ

コモドアーズ(The Commodores)は、ソロとして活躍したライオネル・リッチーを所要するバンド。

ファンクとラブソングの要素を織り交ぜた彼らの楽曲は、はっきりした声に追従する邪魔しない楽器が特徴です。

バンド名に由来するアルバム「Commodores」は彼らの魅力が詰まっています。「Brick House」に聴かれるファンクと「Easy」に聴かれるR&Bの曲調は、いずれもコモドアーズらしいシンプルながら奥の深い楽曲。

ウォー

ウォー(War)は、アニマルズに所属していたエリック・バードンが組んだバンド。ちなみにアニマルズは、ビートルズやローリング・ストーンズと同時期に活躍したイギリスのロックバンドです。

ポップスに寄っていく前の楽曲を楽しめる「All Day Music」をおすすめします。ファンクとジャズを混合させたオリジナリティのあるファンクは、白人と黒人混合ならではのグルーヴを感じさせます。

ザップ

ザップ(Zapp)は、ロジャー・トラウトマンを中心に活動していたジャンルレスのバンドです。

一見するとヒップホップのようにも聴こえる音の中に、ファンクやR&B、ソウルなど多くのバックグラウンドを感じさせます。

ザップの有名曲「More Bounce to the Ounce」やタイトルからしてファンキーな「Funky Bounce」などを聴けば、ルーツにブラックミュージックがあることは一目瞭然でしょう。後にヒップホップの要素が強くなりつつあるのは、時代の流れも反映してのことかもしれません。

グラハム・セントラル・ステーション

グラハム・セントラル・ステーション(Graham Central Station)は、スライ&ザ・ファミリー・ストーンのメンバーだったベーシスト、ラリー・グラハムが結成したバンド。

スライ&ザ・ファミリー・ストーンを彷彿とさせながらも、ベースにスポットライトのあたる楽曲群はもといたバンドとは異なるイメージを作り出すのに成功しています。バンド名は、実際にある駅名をもじって名付けたとのことです。

1曲目の「Pow」は、ベーシストなら一度は聴いておくべきスラップの嵐。スラップ以外も含めベースの多様な奏法を聴かれるため、シンプルに楽しむもよし、勉強に使うもよしのアルバムです。

B.T.エクスプレス

B.T.エクスプレス(Brooklyn Trucking Express)は、一時期ではディスコで聴かれる機会も多かったというファンクのようなソウルのようなバンド。

インストゥルメンタルがゆえに歌がないと楽しめない人には向かないが、反対に言えば楽器陣の声ともいうべき音の数々に耳を傾けやすいのではないでしょうか。

「Express」と「Do It (‘Til You’re Satisfied)」は彼らのヒット作で、有名にした作品でもあります。後の楽曲も含めファンクだけでなく(本人たちが意識したかは別にして)ディスコの要素も多分に感じられる。

ルーファス

ルーファス(Rufus)は、キーボーディストのロン・ストッカートとギタリストのアル・シナーらによって構成されるバンド。

ルーファス&チャカ・カーンとしてチャカ・カーンと明示的にバンドを組んでおり、双方の知名度は相乗効果的に上がっていきました。

ヒット作の「Rags To Rufus」は、ルーファスのファンクやR&Bの要素を楽しめる1枚。2本のギターが織りなすリズミカルな音は踊らずにはいられないはずです。

チャカ・カーン名義のアルバムではベスト盤を紹介します。彼女の高い歌唱力がこれでもかというほど表現されている作品です。

ファンクの名盤・名曲【ギタリスト編】

プリンス

プリンス(Prince)は、多くのジャンルを自身の中で理解し表現できた稀有なアーティストの一人です。

ギタリストとしましたが彼は多くの楽器や手法を扱っていたため、1人のアーティストとして呼ぶのがふさわしいかもしれません。

後の「Purple Rain」と並び称される名盤「1999」は、彼の連綿としたキャリアを代表するのにふさわしい作品でしょう。有名な「1999」「Little Red Corvette」をはじめ、ロックやソウル、ジャズ、エレクトリック、そしてファンクのニュアンスを表現できたナンバーばかりです。

カーティス・リー・メイフィールド

カーティス・リー・メイフィールド(Curtis Lee Mayfield)は、インプレッションズから独立したギタリスト。

インプレッションズで活躍していたかたわら、公民権運動への気持ちを音楽でも表現したかった彼は独立し、楽曲制作に取り掛かります。

ヒット曲である「(Don’t Worry) If There’s a Hell Below We’re All Going To Go」や「Move On Up (Extended Version)」だけを聴いても彼の特徴的なギターを楽しめるでしょう。後も「Superfly」をはじめ精力的に活動していくカーティス・メイフィールドの原点が垣間見える作品です。

ファンクの名盤・名曲【ベーシスト編】

ブーツィー・コリンズ

ブーツィー・コリンズ(William “Bootsy” Collins)は、ジェームス・ブラウンとジョージ・クリントンの偉大な2人のもとでファンクを学んだ、見た目のインパクトが強いベーシストです。

ジョージ・クリントン率いるPファンクで着用している星型のサングラスがトレードマークのエンターテイナー。見た目に反して音は強烈なファンクなのがたまりません。

数ある名盤の中からファンキーさの強い「Stretchin’ Out In Bootsy’s Rubber Band」をセレクトしました。1曲目の「Stretchin’ Out (In a Rubber Band)」から、ジェームス・ブラウン時代とパーラメント・ファンカデリックの時代が色濃く反映されたファンクが全開です。

子供の声が聞かれる2曲目「Psychoticbumpschool」でも土臭いファンクは健在。パーラメントのようにファンクで世界を元気にする姿勢が見て取れます。

ファンクの名盤・名曲【ピアノ・キーボード編】

アイザック・ヘイズ

アイザック・ヘイズ(Isaac Lee Hayes, Jr.)は、キーボディストでありながらコンポーザーやプロデューサーも兼任していました。

スタックスレコードに所属しようとオーディションを何回も受けるも落選。しかし、MG’ズのサポートという意外な形でスタックスと関わりはじめます。

「Shaft」は映画のサウンドトラックとして発売されたにもかかわらず彼の代表作のように扱われています。多くの顔をもつアイザック・ヘイズなのでどれをおすすめすればよいかは難しいですが、それぞれの才能を反映した結果が「Shaft」をおすすめする形になっているのかもしれません。

ドクター・ジョン

ドクター・ジョン(Dr. John)は、「ニューオーリンズ音楽の伝道師」と呼ばれることもあるピアニスト兼ソングライターのアーティストです。

白人の身でありながら黒人やクレオールの音楽が栄えているニューオーリンズの音楽を世界に広めたとして有名です。

ドクター・ジョンの名を冠した「Dr. John Gumbo」は彼の音楽を端的に表しています。意味のない単語を連呼しながらなんとも形容しがたい雰囲気のリズムをかもしだす「Iko Iko」は、彼のレパートリーの中でも有名なナンバー。

ミーターズをバックバンドとして採用していたことからも、セカンドラインの影響を強く受けていることが見て取れます。2019年、享年77歳にて亡くなった今もニューオーリンズの音楽を代表するアーティストとして名高いです。

ファンクの名盤・名曲【サックス編】

メイシオ・パーカー

メイシオ・パーカー(Maceo Parker)は、JB(ジェームス・ブラウン)とPファンク(パーラメントとファンカデリック)の両方を経験したジャズのサックス奏者です。

ファンクのサックス奏者を一人だけあげるとすれば彼、メイシオ・パーカーをあげる人が多いのではないでしょうか。

ファンクやジャズを感じさせる「Mo’ Roots」は、普段はバンドを支えているサックスがフィーチャーされているわかりやすくかっこいいアルバムです。表現の幅が広いことからも彼の計り知れないを思い知らされます。

ライブ盤でもメイシオ・パーカーのごきげんなサックスは健在です。それどころが生き生きとしたサックスを体で感じられるでしょう。

ファンクらしさとは土臭さ

ファンクの名盤・名曲を聴いて、あなたは何を感じましたか?普段聴いている曲とは雰囲気が違ったのではないでしょうか。

ファンクはブラックミュージックなのでジャズやR&Bに近いものがたぶんに含まれています。そのためジャンル分けはかんたんではなくファンクといっても人それぞれ定義が異なるのも現状です。

あなたが感じた「ファンク」が「ファンク」です。人と異なる感覚であっても「ファンク」の精神を忘れないようにしてもらえると幸いです。

あらためて聴きたい場合は、プレイリストを保存するのもいいでしょう。

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