中級者への道

【中級者への道3】 他の楽器を聴く – バンドは “対話” だ

あなたはこのように考えていませんか?

  • 他楽器の演奏は聴かなくてよい
  • バンドはドラムに合わせるべきだ
  • ドラマーはドラムにだけ集中すべきである

ドラムはビートを最大級に強調できる楽器ですが、他の楽器を聴かなくてよいわけではありません。すくなくとも私はそう考えます。

「他の楽器はドラムに合わせて演奏すればいい」という考え方を否定はしません。しかしもう少し広い視野で見てみませんか?

記事の要点
  • ドラムも他の楽器を聴こう
  • 他人が表現したい音を汲み取ろう
  • コミュニケーションはキャッチボールを目指す

ドラムが他の楽器を聴かない悪影響

ドラマーの私
ドラマーの私
ドラムが他の楽器を聴かないだけでそんなに問題ある?

と思うでしょうか? ドラマーが周りの音を聴いていない状況ははっきり言って深刻です。ドラマーが自分の音しか聴いていないと次のような弊害があります。

  • メンバーと意思疎通が取れない
  • 演奏が合わない
  • 楽しくない(ことが多い)

他の楽器を聴いていないのでコミュニケーションは取れません。そのためメンバーと演奏が合わずらくバンドのクオリティを維持するのは難しいといえます。

仮にドラムにうまく合わせられたとしても致命的な欠点が1つ残っています。バンドが楽しくないということです。

ひとによってバンドの楽しみ方はさまざまですが、少なくともバンドとして演奏する楽しさは望めないでしょう。テンポを保つだけであれば打ち込みの音(パソコンで作った音)が最適解でしょう。

ドラムが他の楽器を聴くべき証拠

ドラム以外がバンドを仕切るケース

そもそもドラムが演奏を仕切るとは限りません。ジェームス・ブラウンさんはボーカルですが、彼の合図を持ってすればドラムも含め奏者は演奏をはじめたり止めたりする必要があります。

ジェームス・ブラウンさんの動きひとつで演奏は変化します。仮にドラムがビートの主軸を担っていたとしても、他の楽器(ここではボーカル)を聴かない理由にはなりません。

お互いの状況を把握しながら演奏するケース

バンドはオーケストラとは違いお互いの様子を見て演奏が有機的に変化します(オーケストラも変わっているかもしれませんけど…)。

メンバーの人数が少ないデュオだと傾向が顕著です。MIYAVIさんの演奏を見てみましょう。

主役であるギターのMIYAVIさんを差し置いてドラムのBOBOさんが取り仕切っているとは考えにくいでしょう。

つまり、MIYAVIさんとBOBOさんは双方向的に演奏を聴き、パフォーマンスに反映していると推測できます。

ドラムが他の楽器を聴くメリット

ドラムが他の楽器を聴くと次のようなメリットがあります。

  • コミュニケーションをとれる
  • 強烈なグルーヴを作れる
  • 演奏者の人となりがわかる

それぞれ順に説明します。次の動画は3点のメリットすべてを確認できるのでぜひチェックしてください。

コミュニケーションをとれる

まずコミュニケーションを図れます。上動画のように即興的に演奏する場合、コミュニケーションは不可欠です。

片方が演奏の方向性を決めもう片方がそれに合わせながら演奏する。反対の場合も同様です。コミュニケーションなしではなしえないでしょう。

また即興でないにしても、メンバーの様子を把握したりノリをつかんだりするのに役立ちます。

強烈なグルーヴを作れる

互いの状況がわかるのでグルーヴも作りやすくなるでしょう。

ドラムが他の楽器を聴いていないとメンバーがドラムに合わせることでしかグルーヴを作り出せません。つまりバンドのグルーヴはドラマーのグルーヴとなります。

それに対しドラマーがメンバーに歩み寄ることで各メンバーの持ち合わせているグルーヴをかけ合わせた強烈なグルーヴを作り上げられます。

メンバー全員で練り上げたグルーヴは一人よがりのグルーヴより強固なのは想像に難くないでしょう。

演奏者の人となりがわかる

楽器をとおして演奏者の人となりがわかってしまうのもおもしろいところです。

自分を主張するタイプなのか相手に合わせるタイプなのか、暴れるのが好きなのかじっとしているのが好きなのか。

演奏ひとつとっても人の個性が丸裸にされます。言葉をかわさずとも相手のことがわかる場合すらあります。

Q&A

他の楽器を聴いている余裕がない

ドラマー
ドラマー
自分の演奏に必死でメンバーの音を聴けないんだけど…

正論を述べてしまえば自分の演奏に精一杯の時点でまだまだ練習がたりていないと言えるでしょう。

ドラムの演奏は何も考えずにできる前提です。他の楽器を聴けるようになるまで練習が必要です。

とはいえ最初のころは一曲とおして他の楽器を聴くのは難しいケースが多々あるでしょう。その場合はフレーズが簡単な状況だけでも耳を傾けましょう。

メンバーがドラムを基準にしたがる

ドラマー
ドラマー
バンドメンバーがドラムを主軸にするからあまりコミュニケーションが取れないんだよね…

ドラマーがバンドの主軸になるのは自然なことです。ただし主軸になることと他の演奏を聴かないことはイコールではありません。

自分の演奏をきっちりさせながらもギターやベースの状況を把握しましょう。きっと今よりいいバンドサウンドを手に入れられるはずです。

CD音源やライブ映像で他の楽器を聴く

私がよくやる練習方法にドラム以外のパートだけを聴くというものがあります。

ギターソロを目立たせたいからドラムはおとなしくさせようとか、ベースとリズムが合っているからバスドラを合わせるように気をつけようとか気づけることはたくさんあります。

ぜひおためしあれ。

ドラマーはバンドの一員に過ぎない

ドラマーはバンドの一員です。監督ではありません。メンバーとコミュニケーションを取りながら演奏することで、一歩進んだバンドに進化させましょう。

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