- 拍子とは、拍の強弱をグルーピングしたもの
- 拍子によって、ノリが違う
- 拍子は途中で変わる場合も
拍子とは
拍子とは、拍の強弱をグルーピングしたものをさす。3/4拍子なら、4分音符を3こずつにグルーピングしている、といった具合だ。拍子によって曲のノリや雰囲気が大きく変わるので、拍子は楽曲の重要な要素といえる。
楽譜の拍子記号
というあなたのために、拍子記号を解説するよ。

「3/4」と縦に並んで書いてあるのが、拍子記号だよ。
拍子記号の主な役割は、1小節内に入る音符を決めること。
たとえば「3/4」と書いてあれば、1小節内に4分音符が3こ入る、という意味を表している。
1小節内にどの音符が何こはいるのかによって、曲の雰囲気は大きく変わる。だから拍子記号は重要なんだ。
4/4拍子(四拍子)
近年のポップで主流なのが4/4拍子である。

拍子記号は、4分音符が4こ入るという意味。
といってもわかりにくいかもしれないね。とりあえず音で聴いてみよう。
上の曲を楽譜にしたものが、次の音だよ。
よくも悪くも「あ、これ聞いたことある!」となったんじゃないかな。
4/4拍子の曲
さらに理解を深めるために、曲で聞いてみよう。
Foo FightersのThe Pretenderである。

ドッタドドタというリズムがサビを中心に聞こえたはずだ。
4/4拍子の特徴として、リズムにノリやすいことがあげられる。
The Pretenderに合わせてリズムを取ろうとすれば、苦労もなくできるはずだ。
特殊な表記「C」
4/4拍子は、先ほどのように「4/4」と楽譜に表記される。
しかし、特殊な記号で4/4拍子を表す場合がある。

この「C」のような表記は、「4/4」とまったく同じ意味をもつ。
同様に、「Cに縦棒」を追加した記号は、「2/4」を表す。

これらの記号は、宗教の音楽が由来と言われている。
キリスト教では3を完全な数字として「○」で表し、2や4の完璧でない数字は○の一部を欠いた「C」で表し……話し出したら長いので端折る。すまん。
とりあえず、「C」は4/4拍子を表すことだけ理解していれば、問題なし。
3/4拍子(三拍子)
続いて、3/4拍子である。

3/4拍子は、1小節に4分音符を3こいれられる。
4/4拍子は4こ入れられたが、3/4拍子は3こしかいれられない。
楽譜を見ると、1小節に「♩(4分音符)」が3こしかないことに気づくだろう。
音でも聞いてみよう。
ドドタドドタというリズムが聞こえたかな。
これが三拍子のリズムである。
3/4拍子の曲
三拍子の曲でわかりやすいのは、童謡のぞうさんだ。

曲を数えながら、「1,2,3,1,2,3…」とカウントできるはず。
4/4拍子とのノリの違いがわかるかな。
四拍子は1,2,3,4のうち、1と3のタイミングでリズムをとる(ことが多い)。
それに対し三拍子は、1のタイミングでリズムをとる。
この違いが、曲のノリや雰囲気の違いにつながるんだ。
2/4拍子(二拍子)

2/4拍子は、1小節内に4分音符が2こ入る。
と思っているかな。これはあながち間違いじゃないんだ。
確かに、2/4拍子の2小節分は、4/4拍子の1小節分と音符の数は同じ。
でも「音符の数が同じ = 拍子が同じ」にはならないんだ。
この理由を曲でみていこう。
2/4拍子の曲
2/4拍子は行進曲に多く見られる。
ヨハン・シュトラウスのラデツキー行進曲を聴いてみよう。有名だから聴いたことはあるはず。

4/4拍子との違いに気づけただろうか。
ラデツキー行進曲は、「行進曲」というぐらいだから、行進しやすい曲になっている。
ではなぜ行進しやすいのか。それは、2/4拍子だからである。
人は歩くとき二拍子のリズムで歩いている。右足左足を順番に前に出すので、自然と「1,2,1,2」のリズムが取れている。
2/4拍子は、歩くようなリズムといえる。この点で4/4拍子とは違う。
もちろん、例外はある。ジャズの2/4拍子はまったく違うものなので、別の考え方をしないといけない。
でもわかりやすい例は行進なので、一つの知識として頭にいれておいて良いだろう。
5/4拍子(五拍子)
5/4拍子からは少し考え方が難しくなる。

今までの拍子と異なる雰囲気を、聴いて確かめよう。
5/4拍子は、3/4拍子と2/4拍子が合わさったものとして考えると、わかりやすい。
必ずしも、3/4拍子と2/4拍子の組み合わせとは限らないけど、今回の例はこれらの足し算だ。
5/4拍子の曲
The Cabsの二月の兵隊という曲は、Aメロやサビに限るが、五拍子が使用されている。00:25以降に注目。

4/4拍子や3/4拍子と比較すると、どことなく気持ち悪さがないだろうか。
5/4拍子のような複雑な拍子は、自然と体を揺らすことは難しい。
そのため、ダンスミュージックをはじめとした踊る曲とは、一線を画している。
6/8拍子(六拍子)
6/8拍子は、3/4拍子によく似た拍子だ(違いは後述)。

拍数的には、3/4拍子とまったく一緒である。
6/8拍子の曲
6/8拍子の曲を聴いてみよう。
plentyの蒼き日々は、終始6/8拍子で演奏されている。

3/4拍子との違い
確かに音符の長さはまったく同じなんだ。
でも違いは、ノリをどのように感じるのかにある。

6/8拍子は、二拍子のノリなんだ。8分音符の1こ目と4こ目で体が動くと思う。
一方3/4拍子は、三拍子のノリだから、4分音符全部で動きたくなるはず。
ぞうさんと蒼き日々の曲を聴いてみると、わかりやすいだろう。
7/8拍子(七拍子)
7/8拍子は、5/4拍子より考え方が複雑。

この楽譜では、4/4拍子と3/4拍子の合体みたいに書いているけど、そうとも限らない。
3/4拍子 + 2/4拍子 + 2/4拍子のように演奏されることもある。パターンはまだある。
といった具合に複雑なのが、七拍子の特徴。
7/4拍子の曲
シナリオアートのナナヒツジを聴いてみよう。
これは7/8拍子ではなく、7/4拍子だが七拍子のノリが端的に表現されているので、聴いてほしい。
サビは4/4拍子なので注意。

この曲は割と綺麗に仕上がっているが、七拍子の曲は素直に聞けない独特なリズムが多い。
もし演奏するなら、その雰囲気を表現できるように頑張ろう。
変拍子
変拍子は、いくつかの拍子が入れ替わりながら演奏される曲の拍子をさす。フュージョンやポストロックによく見られる曲調である。また、3/4拍子や4/4拍子のような素直でない、を表現する「変な拍子」という意味でも使われる。
変拍子の曲
変拍子は、今までの拍子以上に特別な調子になる。
とりあえず、ゲスの極み乙女。の餅ガールを聴いてみよう。02:26からが変拍子だ。

5/4拍子と6/4拍子を交互に使用して、印象的なフレーズを作り出している。
「うわ…なんかよくわからないことやってる…」ってなったかもしれないね。
変拍子はよくも悪くも、特殊なことをやっているように見られる拍子なんだ。
5/4拍子で説明した「二月の兵隊」の前奏も、実は変拍子である。気になったら聴いてほしい。
拍子で曲に適切なアクセントを
拍子について解説したよ。
あまり気にしたことがなかったかもしれないけど、拍子を理解できると世界が広がる。
今までやったことのない拍子や、意識して演奏していなかった拍子にもチャレンジしてみよう。